- 2019 01/18
- 私の好きな中公新書3冊
森毅『数学受験術指南』
芳賀徹『詩歌の森へ』
竹内正浩『カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密篇』
中公新書を何度でも手にとる。その度に発見がある。そんな知の泉が、2500点を超える。人生は短いが、いつか、どこかで全部を読みたい。
だから、「中公新書の森 2000点のヴィリジアン」(2009年)と、「中公新書総解説目録」(2012年)の2冊こそ、「私の好きな中公新書」の筆頭として挙げたい。とはいえ、どちらも非売品かつ入手困難なので、いつか、どこかで、に向けた夢想を広げてくれる3冊を選んだ。
『数学受験術指南』(1981年)は、生まれてはじめて読んだ中公新書で、中学1年の夏休みに買った記憶がある(奥付は1992年)。いまは中公文庫に入っている。当時テレビによく出ていた筆者のこの本と、同じくタレント数学者だった秋山仁『数学流生き方の再発見』(1990年)を読むと、あの日の自分を思い出す。
『詩歌の森へ』(2002年)は、比較文学をかじった学部生の時から親しむ。芳賀徹による『大君の使節』(1968年)や、『外国人による日本論の名著』(1987年)、そして、この1冊は忘れがたい。比較文学という堅苦しい枠組みではない。日本とそれ以外を自在に行き来する知は、いつも刺激をもたらす。
『カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密篇』(2016年)は、地下鉄での移動時間をスマホから解放し、知識を文字通り深掘りしてくれる。ありえたかもしれない想像力をはばたかせる。中公新書は、ほかにも、絵画や植物、将棋の駒まで、いろんなカラー版を出している。オタクや専門家に限定されない知のウィングは、どこまで広がるのか、これからも心待ちにしている(し、いつかは、その一員に加えて頂きたいと切望している)。