2017 10/02
編集部だより

「ガクっとくるよ」

「〇〇歳を超えると、(体力が)ガクっとくる〔落ちる〕よ~」
なぜか嬉しそうに語る年長者の姿が長らく不思議でした。
「〇〇」に入っていた30、35という数字を過ぎても実感がなく、「もともと体力がないから変化を感じないのかな」などと思っていたのですが、ついに。

40歳になって、左膝が痛むようになりました。
しゃがみこんだ姿勢から立ち上がろうと左膝に力を入れると、ギシギシと軋み、そして走る痛み。最初は「足が痺れたのかな」と思いましたが、違います。
昨年生まれた子どもを床から日々抱き上げているのが原因だとすれば、一時的なことかもしれません。ただ、25歳のパパなら膝が痛くはならないでしょう(たぶん)。

やはり、「40歳を超えると、ガクっとくる」のです。
その事実を受け入れるとすぐに、35歳から腰が痛くなったことを思い出しました。当時、隔月で高熱が出て苦労したことも......。要するに、体力がガクっと落ちた事実から目を背けていただけなのです。

先日は、咳をしたところ、左の脇から背中にかけて強烈な痛みが走りました。今も湿布を貼り、咳やくしゃみをするときは患部を押さえて、身体を丸め、できるだけ骨が動かないようにして痛みを抑えています。
立ち上がるときは、もちろん椅子や机に手をやり、左膝に体重がかからないよう細心の注意をはらって、ゆっくりと立ち上がります。その姿は中年を超えて、もはや高齢者かもしれません。

こうして体力低下の現実を受け入れると、つい言いたくなりますね。「〇〇歳を超えると、ガクっとくるよ~」と。
しかし、なぜだか分かりませんが、年少者に向かってそれだけは言うまい、と誓う自分がいるのです。おそらく、その言葉にどこか軽い呪いじみた響きがあるから、だと思います。そんなとき、かわりに何を言えばいいのか分かりませんが、せっかくなら少しでも前向きな言葉を紡ぎたいと思う四十路の日々です。(田)