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大岡昇平 著
昭和十九年十一月、レイテ島最大の激戦地となるリモン峠での死闘が始まった。現地の苦戦に武藤方面軍参謀長は打切りを意見具申するが、八日の総理大臣小磯国昭の天王山発言により、レイテ戦続行は大本営方針となる。巻末にインタビュー「『レイテ戦記』を語る」(聞き手・古屋健三)を収録。 【全四巻】(目次より)十二 第一師団十三 リモン峠 十一月三日―十日十四 軍旗 昭和十九年十一月十一日―十五日十五 第二十六師団十六 多号作戦十七 脊梁山脈十八 死の谷 十一月十六日―十二月七日十九 和号作戦インタビュー『レイテ戦記』を語る(聞き手古屋健三)
2019/07/12 刊行

大岡昇平 著
戦争は勝ったか、負けたかというチャンバラではなく、その全体にわれわれの社会と同じような原理が働いている――。太平洋戦争の天王山・レイテ島での死闘を、厖大な資料を駆使して再現した戦記文学の金字塔。毎日芸術賞受賞作。巻末に講演「『レイテ戦記』の意図」を付す。(目次より)第一巻一 第十六師団 昭和十九年四月五日二 ゲリラ三 マッカーサー四 海軍五 陸軍六 上陸 十月十七日―二十日七 第三十五軍八 抵抗 十月二十一日―二十五日九 海戦 十月二十四日―二十六日十 神風十一 カリガラまで 十月二十六日―十一月二日巻末付録 講演「『レイテ戦記』の意図」
2019/07/12 刊行

甲骨文字から篆書、楷書へ
落合淳思 著
「馬」の字からはタテガミをなびかせ走るウマの姿が見えてくる。しかし「犬」からイヌを、「象」からゾウの姿を想像することは難しい。甲骨文字から篆書、隷書を経て楷書へ――字形の変化を丹念にたどると、祭祀や農耕など中国社会の変化の軌跡を読み取れる。漢字がもつ四千年の歴史は、捨象と洗練と普及の歴史なのだ。本書では小学校で習う教育漢字を取り上げた。眺めて楽しい字形表から漢字の歴史が見えてくる。
2019/07/12 刊行

永澤義嗣 著
「数十年に一度」と言われる気象災害が日本のあちこちで起こっている。豪雨や大雪を観測・分析し、的確に警報を出すことで、被害を最小限に止める――気象庁予報官には、天気予報だけでなく、そうした使命も与えられている。「夜明け前が一番忙しい」「梅雨明け宣言をいつ出すのか」など日々の仕事から、「上空の寒気」「冬型の気圧配置」などの注意を要する用語の解説、さらに警報の運用まで、気象予報と予報官のすべてを紹介。
2019/07/12 刊行

倭の五王から遣唐使以降まで
河上麻由子 著
607年、日本は隋の煬帝に「日出ずる処の天子」で名高い書状を送る。以後、対等の関係を築き、中国を大国とみなすことはなかった――。こうした通説は事実なのか。日本はアジア情勢を横目に、いかなる手段・方針・目的をもって中国と交渉したのか。本書は、倭の五王の時代から、5回の遣隋使、15回の遣唐使、さらには派遣後まで、500年間に及ぶ日中間の交渉の軌跡を実証的に、「常識」に疑問を呈しながら描く。
2019/07/12 刊行

人生後半の生き方
五木寛之 著
著者が2015年に『嫌老社会を超えて』を出版し、世代間闘争や暴走老人に警鐘を鳴らして約1年半。老人による交通事故報道が後を絶たず、2017年には改正道路交通法が施行されました。100歳以上の高齢者が6万人を超え、団塊世代が70歳を迎える今、新たな「老い方」を考えることは日本にとって、私たち一人ひとりにとって最も重要な課題であるといえます。しかし、「高齢になっても元気に前向きに」は誰もができることではありません。老いに抗わず、等身大に受け止め、工夫して楽しむ。「嫌われる、迷惑をかける老人」にならないなど「賢老」という生き方のために日々実践できることを、84歳の著者自らの体験も交えながら綴った1冊。
2019/07/12 刊行

美川圭 著
天皇家を支えた貴族層のうち、大臣らトップクラスを公卿という。律令制の導入以降、国政の重要案件については、公卿たちが集まり、会議を行って方針を決めた。現在の内閣の閣議に相当する。藤原道長の頃に定まった宮廷政治のあり方は、院政の成立、承久の乱、建武の新政などを画期として変化を遂げながらも、南北朝時代まで続いた。貴族の政務の実態を解説し、日本の合意形成プロセスの原型というべき公卿会議の変遷をたどる。
2019/07/12 刊行

アジアに生きた一万人の戦後
林英一 著
「恥ずかしながら帰って参りました」――。残留日本兵といえばすぐに思い浮かぶのが、横井庄一や小野田寛郎、そして、“水島上等兵”。彼らの苦難の歳月は、自伝をはじめ多くの書籍や映像で描かれてきた。だがいずれも悲劇の英雄として語られ、時々で話題を集めたにすぎない。本書は、アジア各地で綴られた全記録を辿り直すことで、「大日本帝国崩壊後」の残留日本兵たちの真の姿を明らかにする、初の試みである。
2019/07/12 刊行

室井康成 著
事大主義とは、強者に追随して保身を図る態度である。国民性や民族性を示す言葉として、日本や朝鮮、沖縄で使われてきた。本書は、福沢諭吉、陸奥宗光、柳田国男、朴正熙、金日成、司馬?太郎などの政治家や知識人を事大主義の観点で論じ、時代の変遷を描く。日本への「島国根性」という批判や、沖縄への差別意識はどこに由来するのか。韓国と北朝鮮の相剋の背景は何か。自虐と侮蔑が交錯した東アジアの歴史が浮き彫りに。
2019/07/12 刊行

真の「武者の世」を告げる大乱
坂井孝一 著
一二一九年、鎌倉幕府三代将軍・源実朝が暗殺された。朝廷との協調に努めた実朝の死により公武関係は動揺。二年後、承久の乱が勃発する。朝廷に君臨する後鳥羽上皇が、執権北条義時を討つべく兵を挙げたのだ。だが、義時の嫡男泰時率いる幕府の大軍は京都へ攻め上り、朝廷方の軍勢を圧倒。後鳥羽ら三上皇は流罪となり、六波羅探題が設置された。公武の力関係を劇的に変え、中世社会のあり方を決定づけた大事件を読み解く。
2019/07/12 刊行

民族と愛国の近現代史
小野寺史郎 著
二一世紀に入り、尖閣諸島や南沙諸島の領有問題などで中国の愛国的な行動が目につく。なぜ、いま中国人はナショナリズムを昂揚させるのか。共産党の愛国主義教育や中華思想による強国意識からなのか。西洋列強や日本に蚕食されてきた一九世紀半ばから、日本の侵攻、さらに戦後中国が強大化するなか中華民族にとってナショナリズムとは何であったのか。本書は、清末から現代までの一二〇年の歴史のなかで読み解く。
2019/07/12 刊行

歴史から解き明かす
岡本隆司 著
同じ「漢字・儒教文化圏」に属すイメージが強いためか、私たちは中国や中国人を理解していると考えがちだ。だが「反日」なのに日本で「爆買い」、「一つの中国」「社会主義市場経済」など、中国では矛盾がそのまま現実となる。それはなぜか――。本書は、歴史をひもときつつ、目の前の現象を追うだけでは見えない中国人の思考回路をさぐり、切っても切れない隣人とつきあうためのヒントを示す。
2019/07/12 刊行

即位式、日常生活、退位後
近藤好和 著
装束とは、天皇・公家・武家・高僧などの上流階級が着用した歴史的着衣をいう。歴代の天皇は、皇太子から即位式を経て天皇になり、譲位後は上皇、さらには出家して法皇となる場合もあった。そうした人生の節目ごとに装束は変化したが、個人の意思で選ぶことはなく、奈良・平安時代以来の厳格な規定に従っていた。本書は、主として中世の天皇の生涯を辿りながら、個々の装束を詳細に解説し、それらが持つ意味を明らかにする。
2019/07/12 刊行

秋山武雄 著/読売新聞都内版編集室 編
15歳でカメラを手にしてから、70年近く、家業の洋食店の仕込みが始まる前の早朝、自転車で都内あちこちに出かけ撮りためたネガは数万枚。下町の街角や庶民の日常を切りとった写真は、図らずも戦後復興、東京の変貌の記録となった。「平成」が幕を下ろし、2度目の東京五輪を控える今、過ぎ去りしあの頃を懐かしみ、ノスタルジーに浸ることのできる、格好の一冊。幼い頃に見た古き良き日本や東京の情景。著者の撮る写真には、記録性、技術の確かさに加え、温かい眼差しが感じられ、ほかに得難いものとなっている。それはひとえに、著者自身の、浅草の片隅で日々フライパンを振っている庶民の視点、温かい人柄、年齢を感じさせない感性の瑞々しさにほかならない。読売新聞都民版で8年300回を数える名物連載「秋山武雄の懐かし写真館」から、選りすぐりの写真150点あまりと江戸っ子の語り口を通し、今は失われた、思い出の時代が甦る。
2019/07/12 刊行

吉田裕 著
新書大賞受賞第30回アジア・太平洋賞特別賞受賞 310万人に及ぶ犠牲者を出した先の大戦。実はその9割が1944年以降と推算される。本書は「兵士の目線・立ち位置」から、特に敗色濃厚になった時期以降のアジア・太平洋戦争の実態を追う。 異常に高率の餓死、30万人を超えた海没死、戦場での自殺・「処置」、特攻、劣悪化していく補充兵、靴に鮫皮まで使用した物資欠乏……。 勇猛と語られる日本兵たちが、特異な軍事思想の下、凄惨な体験をせざるを得なかった現実を描く。
2019/07/12 刊行