ホーム > ニュース・トピックス > 第19回「読売・吉野作造賞」授賞取り消しのお知らせ

ニュース・トピックス

2019/05/17第19回「読売・吉野作造賞」授賞取り消しのお知らせ

 中央公論新社と読売新聞社は17日、「読売・吉野作造賞」の選考委員会を開き、深井智朗氏の著書『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』(中公新書)に対する第19回読売・吉野作造賞(2018年)の授賞取り消しを決めました。
 深井氏の別の著書と論考(『ヴァイマールの聖なる政治的精神』、「エルンスト・トレルチの家計簿」)について、深井氏が院長を務めていた東洋英和女学院大学の調査委員会が今月10日、捏造と盗用があったと認定したうえ、「学術的・社会的影響度は極めて大きく、行為の悪質度は極めて悪質」と結論づけたことを受けた措置です。
 『プロテスタンティズム』に関しては、不正行為の疑いが表面化した昨年10月以降、研究者2人に内容の精査を依頼、不正行為を告発した関係者から意見を聞き、さらに深井氏本人からもヒアリングを行いましたが、捏造、盗用などは認められませんでした。
 しかし、調査委員会の調査結果を踏まえると、深井氏には研究者倫理の欠如が認められ、研究姿勢に重大な問題があり、『プロテスタンティズム』もそのような研究姿勢のもとで執筆された著作に含まれると見ざるを得ないことから、授賞取り消しが相当と判断しました。
 深井氏は、昨年3月に日本基督教学会を通じて不正行為の指摘を受け、7月には同学会に不正を否認する回答を送っていました。この間に、読売・吉野作造賞の授賞が決まりましたが、深井氏から中央公論新社と読売新聞社にはこの件に関し何の申し出もなく、選考過程で深井氏の問題を把握することはできませんでした。
 なお、『プロテスタンティズム』については、今月7日から注文があっても出荷しない出荷停止の措置をとっております。