- 2023 03/31
- 編集部だより
はじめまして、昨年4月より新書編集部に参りました、ヱド@後厄と申します。
どうぞよろしくお願いいたします。
え、もう丸一年が経つじゃないか、挨拶が遅いじゃないか、ですって!?
......も、申し訳ございません。
長らく雑誌の『婦人公論』『中央公論』編集部におりまして、
同じ出版社とはいえ、書籍と雑誌の勝手の違いに右往左往、
七転八倒、紆余曲折、暗中模索に五里霧中、曲折浮沈で四苦八苦......。
毎日涙で枕を濡らしていました。
と、言い訳を書き連ねてしまいましたが、
実際に、雑誌と書籍のちょっとしたルールの違いに驚くことも度々です。
例えば校正記号の使い方。
ゲラに半角分の空きスペースを入れる際、
雑誌では、青字の△を書き入れていたのですが、
新書編集部の先輩から「なんだ、この記号は?」との指摘。
確かに、校正の指南書『編集必携』で調べてみると、
半角を空ける場所に ﹀ を入れ、「二分」または「半角」と書くのが正しいようです。
どうやら青字に△は、雑誌のローカルルールだったようで。
ヱー!知らなかったよー。
四十の手習いです。
(ネットで調べてみると、△を半角空きとして使うケースはあるそうです。
けれど、広く共有された方法ではないので、避けた方がよいとも)
そして、ローカルルールで驚愕したことといえば、「を」の読み方。
皆さんは、ひらがなの「を」を、どのように読みますか?
私はこれを「かぎのを」と読みます。
え?ちがう?
そうなんです。
どうやら、「を」もまた各地方で、読み方がいろいろあるようでして、
けれど私は、長らく「かぎのを」が全国共通の読み方だと思っていました。
ちなみに、これが発覚したのは新書への異動直前のこと、
雑誌の校了前にタイトルの読み合わせをしていた時に、
編集長から、
「ヱド君、いつも『かぎのを』って読んでるけどさ、それローカルの言い方だよね。
一般的には『わをんのを』でしょう 」
ヱェー!!!そうなの?
知らなかったよー。
(「を」もまた各地方で言い回しがいろいろあって、
つなぎの「を」、くっつきの「を」、小さい「を」などあるようです。面白い)
けれど、「わをんのを」より、「かぎのを」のほうが、わかりやすくない...ですか?
そこで私は、「かぎのを」普及会の一員として、3つの利点を申し上げたい。
1.「かぎのを」はまさに表意文字。ヴィジュアル的で、わかりやすい。
そうです、「かぎのを」は鉤(かぎ)の形状に由来します。
(カタカナの「ヲ」が鍵の形状に似ているという説も)
名は体を表す。
その読み方からシンプルにして力強い「を」が、
脳内でヴィジュアル化されないでしょうか。
2.セキュリティ対策、エコの観点から、今の時代にあっている。
「わをんのを」では、「わ」と「ん」の可能性も残されています。
迷いの元です、3つも選択肢を提示してはいけません。
その点、「かぎのを」はがっちりロック。セキュリティ対策も万全です。
そして「を」を、じっと見てください。
をが、さらにカギ括弧で、2つのカギで囲れています。
さらにさらに、二重カギで『を』としたたあかつきには、
「御御御付(おみおつけ)」もびっくり、カギが幾重にも掛かってしまうのです。
まるで高級デパートの丁寧な包装のようではありませんか。
それでいて記号ですから、エコ。環境にやさしいのです。
まさにSDGsの一品といえるでしょう。
3.締められる
最後の利点は唯一無二です。
「わをんのを」では締まりませんが、
「鍵のを」ならば締められます。
無駄に長い
(ヱ)