2021 08/10
特別企画

『すごい植物最強図鑑』試し読み①

このたび、中公新書のロングセラー『植物はすごい』から児童書が生まれました。
『すごい植物最強図鑑』(田中修 監修/角愼作・上田惣子 絵)です。その中身を少しだけお目にかけます。

身近なみどりに、ふしぎがいっぱい! 今回は、気軽にできる実験を2つ、ご紹介します。

カタバミの葉で10円玉をこするとピカピカになる

カタバミの学名は「オキザリス」。オキザリスはギリシャ語で酸っぱいという意味です。この酸っぱい成分は「シュウ酸」といい、スイバ、ギシギシの葉などにも含まれています。葉を数枚集めて、古い10円玉にこすりつけると、酸の働きでピカピカになります。この作用からカタバミには、「銭みがき」なんてあだ名もあるんですよ。ちなみにシュウ酸の英語名は「オキザリック・アシッド」。アシッドは酸なので、酸っぱい酸という名前になります。どれだけ酸っぱいんでしょう。

酸っぱい成分が入っているのは、虫に葉っぱをかじられないようにするため。でも、平気な虫もいて、シジミチョウの幼虫はむしろ大好きです。

カタバミには3つの小さなハート型の葉がついていますが、植物学的には3つで1枚の葉。初夏から初秋にかけて黄色の可憐な花を咲かせます。

バナナは傷がつくとかさぶたを作る

バナナやリンゴは、切ってそのまま置いておくと、切り口が茶色く変色します。これは、切られた断面が空気中の酸素に触れて起こる変化。果実や果汁に含まれているポリフェノールという物質が反応するのです。

「ポリフェノール酸化酵素」という物質が、傷口で細菌が増えるのを防ぎ、傷口を塞ぐために変色を促します。いってみれば、かさぶたのようなもので、これも防御システムのひとつといえます。

むいたリンゴを塩水に浸けるのは、酸素との接触を防ぎ、塩で酵素の働きをおさえて色を保つための、昔からの知恵です。ちなみにタラヨウという植物は、このバナナやリンゴが茶色く変色するのと同じしくみをもっていて、葉に文字を書くとその文字が浮かび上ります。そのため、別名「ハガキノキ」と呼ばれているんですよ。