2021 06/07
中公新書の60年

1980年の中公新書

死刑囚の記録1954年、松沢病院の医師として一人の殺人犯を診察したときが、著者の死刑囚とのはじめての出会いであった。東京拘置所の精神科医官となってから、数多くの死刑囚と面接し、彼らの悩みの相談相手になることになる。本書では著者がとくに親しくつきあった人たちをとりあげてその心理状況を記録する。極限状況におかれた人びとが一様に拘禁ノイローゼになっている苛酷な現実を描いて、死刑とは何かを問いかけ、また考える異色の記録。

加賀乙彦(かが・おとひこ)1929-2023。小説家、精神科医。小説『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、『宣告』で日本文学大賞を受賞。

この年のできごと4月 京都の冷泉家が秘蔵の古文書(『明月記』など)を初公開
同月 NHK特集『シルクロード』が放送開始。大ブームに
5月 ユーゴスラビアのチトー大統領死去 
同月 韓国で反政府デモ隊と軍が衝突(光州事件)
11月 レーガンが米大統領選挙で勝利
12月 『人民日報』が毛沢東を批判

この年のラインナップ瀬田貞二著『幼い子の文学』
山口廣次著『パナマ運河』
加賀乙彦著『死刑囚の記録』
渡邊昌美著『巡礼の道』
梅棹忠夫編『博物館の世界』
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鈴木敏夫著『江戸の本屋(上)』
チャールズ・ヤン著『ビジネス思考学』
伊藤嘉昭著『虫を放して虫を滅ぼす』
鈴木敏夫著『江戸の本屋(下)』
黒田壽郎著『イスラームの心』
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額田巌著『結び目の謎』
加藤秀俊著『企画の技法』
中村秀吉著『時間のパラドックス』
門田修著『海のラクダ』
大矢真一著『和算以前』
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宇江敏勝著『山びとの記』
山脇悌二郎著『長崎のオランダ商館』
斎藤茂太著『躁と鬱』
森元治郎著『ある終戦工作』
後藤和民著『縄文土器をつくる』
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今西錦司著『主体性の進化論』
西条正著『二つの祖国をもつ私』
清水多吉著『ヴァーグナー家の人々』
高橋浩一郎著『気候が変わる』
佐々木宏幹著『シャーマニズム』
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向一陽著『アンデスを越えた日本人』
潘絜茲著/土居淑子訳『敦煌の石窟芸術』
薮内清著『歴史はいつ始まったか』
中川剛著『町内会』
鳴海正泰著『テニス明治誌』
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野崎昭弘著『逆説論理学』
菊盛英夫著『文学カフェ』
高田衛著『八犬伝の世界』
角山栄著『茶の世界史』
赤木昭夫著『蘭学の時代』
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児玉定子著『日本の食事様式』