2018 02/22
私の好きな中公新書3冊

自分では手の届かないところへ/原田まりる

野崎昭弘『詭弁論理学
河合隼雄『無意識の構造
本多健一『京都の神社と祭り 千年都市における歴史と空間


「読書はいってみれば自分の頭ではなく他人の頭で考えることである」

ショーペンハウアーが『読書について』に記した一文です。また、読書は他人の思考法を使い自分では到達しえなかった分野まで手を伸ばすことができることに快感がありますよね。

自分では言語化できずにいた曖昧なわだかまりや不思議を明確な言葉で示してくれるという意味において数学者・野崎昭弘先生の『詭弁論理学』は快感をくれる名著だと思いました。小難しい議論を好むとついつい知的虚栄心をくすぐられてしまうこともありますが、この本によって議論のあり方を学び直すことをおすすめしたいです。

またユング学派の河合隼雄先生『無意識の構造』はユング心理学がわかりやすく解説されており私個人としてはジェンダーを考える際に参考にさせて頂きました。

最後に本多健一先生の『京都の神社と祭り』。こちらは京都人でもよく知らなかった祭事について知ることで、より京都が神秘的な妖しさを内包した街に思えてきます。

原田まりる(はらだ・まりる)

1985年京都府生まれ。作家、コラムニスト、哲学ナビゲーター、男装アイドルユニット「風男塾」の元メンバー。著書に『私の体を鞭打つ言葉』『ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』『まいにち哲学』がある。
原田まりるさんのHP https://haradamariru.amebaownd.com/