- 2016 10/20
- 知の現場から

昨年から今年にかけて単著3冊(『歴史認識とは何か』『安保論争』『迷走するイギリス』)を刊行した細谷雄一・慶應義塾大学教授。その旺盛な執筆活動を支える書斎とは?
自宅マンションを訪ねた編集者とカメラマンに対して、細谷さんは「では、こちらからご案内しましょう」と、なぜか玄関を出て行く。もと来たマンションの廊下を30秒ほど歩いたところで、「アネックス(離れ)です」と案内されたのは「第2の書斎」として使われている別室だった。
引っ越し業者に「このままだと床が抜けますよ」と言われるほど大量の本に悩まされていた細谷さん。7畳ほどの広さの別室付きという条件に惹かれて、この部屋を契約したという。メインの部屋にある第1の書斎は執筆などの仕事用に、歩いて30秒の第2の書斎は息抜きの読書用に使われている。
「第1の書斎には、いま取り組んでいる研究や授業、講演で必要な本や、レファレンスになる本を置いています。第2の書斎にあるのはモンテーニュに、村上春樹さんや粕谷一希さん......リフレッシュするための本ですね」
ご本人の言うように、「他の研究者に恨まれそう(笑)」なほど恵まれた、役割の異なる2つの書斎という環境。これこそが、立て続けに刊行される力作を生み出した「知の現場」だった。





