有吉佐和子 著
若き日の有吉佐和子が、実際に花街を取材して書き上げた渾身の一作。陰りを見せ始める花柳界の問題を鋭く示しながら、当時の煌めきをユーモラスに活写した“幻の快作”が、66年の時を経て初の文庫化!【内容】1950年代、東京の花街。置屋「綾津川」の女あるじ・綾千代のもとに、正体不明のイタリア系アメリカ人・フランチョリーニから、芸者遊芸ブロードウェイ公演の話が舞い込んだ。綾千代はライバル・亀千代とタッグを組み、芸妓組合での根回しや渡航の金繰りに奔走するが、徐々に暗雲が立ち込める。売れっ妓・千々代と花奴、縁あってフランチョリーニの秘書となった国際電話交換手の能村勢子とその同僚・横井新也、日本舞踊の家元・梶川猿寿郎らが巻き起こす騒動と恋のさや当て――。混迷を極める“ゲイシャガール・ダンシング・ティーム”は、果たしてアメリカへ行けるのか!?〈解説〉岩下尚史(作家・國學院大學客員教授)