金子光晴 著
どの村落にも村落のどの小さい家にも世界の波動はうちつけ、衝撃しているのだ。ただ私は旅行者なので、通り過ぎるものなので、それに気づかずにすませるのだ――妻・三千代の不倫を清算するため二人で旅立った中国、欧州、南洋。旅の記録を当時の雑誌掲載作や手帳からオリジナル編集。自伝三部作の原石ともいえる貴重な作品集。詩人本人による挿画収録〈解説〉鈴村和成目次Ⅰ西湖舟遊春の半淞園北京雑景香港・広東・マカオⅡ好色の都フランドル遊記北欧ブラバンブルッセルⅢ馬来の感傷蘭印の旅から蘭印紀行金子光晴の旅 略年譜解説――源泉としての『マレーの感傷』