ラクレ『観光亡国論』の著者、アレックス・カーさんがご登壇されるイベントが2019年8月20日、読売新聞東京本社ビルにて開催されます(主催は読売調査研究機構)。詳しくは下記をご参照ください。

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 年間3000万人を突破し、右肩上がりで増加する訪日外国人観光客。京都をはじめとする観光地や名所には、内外の観光客が押し寄せる「オーバーキャパシティー」という問題が生まれ、地域住民の生活環境などに影響が出始めています。
 京都の町家や地方の古民家再生事業に取り組み、美しい日本の姿を見続けてきた東洋文化研究家のアレックス・カー氏は、現状を「かつての工業公害と同じ状況になりつつある」と指摘し、三つの要因を挙げています。

 (1)新興国からの観光客の増加
 (2)格安航空会社(LCC)によって、海外旅行が身近なものとなった
 (3)自撮り→SNS拡散により、情報が瞬く間に世界中で共有されるようになった

 たとえば、神社仏閣などは、その静けさの中にこそ感じる美しさがあるかもしれません。
 それが失われることによって、本来の素晴らしさを知ることができなくなりつつあります。バルセロナ、アムステルダム、フィレンツェなど、世界的に名の知られた観光地では、オーバーツーリズムに対する様々な取り組みが進められています。

 いち早く過疎化が進み、今も秘境として知られる四国の祖谷(徳島県三好市)で、茅葺かやぶき古民家の一棟貸しプロジェクトを始めるなど、地域の良さを生かしつつ、多くの人が訪れる「場」を作り上げたアレックス・カー氏。日本が観光公害の問題を克服して、観光立国になることは、国の成長にも繋つながる大きなパラダイムシフトと捉えています。

 2019年版の観光白書(観光庁)によると、2018年のインバウンド数は3119万人で5年前の3.0倍に達し、インバウンドによる消費額は4兆5189億円と5年前の3.2倍に急成長を遂げています。観光は国を支える新しい産業になりつつあります。

 日本はどうしたら、観光を国の成長エンジンとすることができるのでしょうか? カー氏は、清野由美氏との共著「観光亡国論」(中公新書ラクレ)で「マネジメント」と「コントロール」がカギを握ると指摘しています。

 本セミナーでは、日本の自然と景観をこよなく愛するアレックス・カー氏が、これまで見てきた日本の美しさと地域再生の事例、京都や富士山で見られる観光公害の現状を踏まえ、2020年に危惧されるインバウンド爆発の「ティッピングポイント」(臨界点)を回避し、観光立国を目指す日本が「今やるべきこと」について語ります。

 「VISIT JAPAN大使」として外国人受け入れ態勢を構築し、日本の魅力を発信してきたカー氏。その講義を直接受けられる貴重な機会です。皆さんのご参加をお待ちしています。

※本セミナーは、読売新聞東京本社の関連団体である(社)読売調査研究機構と、時事通信社の関連団体である(社)内外情勢調査会の連携企画です。

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【講座の概要】

講師:アレックス・カー

 東洋文化研究家、特定非営利活動法人●庵ちいおりトラスト理事。1952年米国生まれ。67歳。1964年に初来日。イエール大学にて日本学専攻。オックスフォード大学で中国学の修士号を取得。1977年より京都府亀岡市に在住し、日本と東アジア文化に関する執筆、講演等に携わる。2004年から2010年に京都で町家を修復し、宿泊事業を営んだ後、活動を地方へと展開。伝統家屋の修築保存活動、景観コンサルタントを各地で行い、滞在型観光の促進に寄与。これまでに数十軒の古民家を改修。著書に『美しき日本の残像』(1993年新潮社、新潮学芸賞受賞)、『犬と鬼』(2002年講談社)、『対談 世流に逆らう』(共著、2012年北星社)、『ニッポン景観論』(2014年集英社新書)、『観光亡国論』(共著、2019年中公新書ラクレ)など。
※●は、「竹冠」に「がんだれ」に「虎」

講 師  アレックス・カー氏(東洋文化研究家)
日 時  2019年8月20日(火) 19時~20時45分(開場18時30分)
会 場  読売新聞ビル3階新聞教室(東京都千代田区大手町1-7-1)
定 員  100名(定員に達し次第締め切り)
料 金  5,400円(税込み)
申 込  こちらから
主 催  一般社団法人 読売調査研究機構
協 賛  一般社団法人 内外情勢調査会
後 援  読売新聞東京本社、時事通信社

詳しくはこちらのサイトをご覧ください
https://www.yomiuri.co.jp/culture/bizforum/20190704-OYT8T50013/