■江戸庶民の「日常」に生きるヒントを見つける!
少ない資源を、無駄なく再利用してきたこと
近隣の人々とうまく付き合い、和やかな人間関係を築いていたこと
しっかりした教育を受けていたこと
よく本を読んでいたこと
そして、「与えられた場で懸命に生きる」 という人生を、 自然に送っていたこと
その暮らしのあり方から、
21世紀の私たちへの、「生きるヒント」を見つける。
それが本書『江戸暮らしの内側』だ。
その『江戸暮らしの内側』の「はじめに」より著者のことばをご紹介。
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「衣・食・住」を「住・食・衣」の順番で眺めた後、「教育・出版」を経由して、「生・老・病・死」に行き着くという構成である。
まさに、江戸時代の庶民が「どう生きたのか」をテーマとしている。
そして、「衣・食・住」はもちろん、「教育・出版」も「生・老・病・死」も、全て関連付けて描くことを努めた。
これが、類書には見られない本書の特徴と自負している。
相互に関連付けているものは、文化の「基層」にある人々の精神である。
江戸時代は楽園ではないし、そこで生きた庶民は、現代以上に大きな困難に直面している。
しかし、彼らの多くが見せた生き様は、疑念の余地もないほどに真摯なものだった。
それは、当時において、いわゆる道徳教育が極めて重視されていたためでもある。
この道徳教育の究極の目標は、常に平和の維持だった。
庶民が、人間としての生を営むために、平和という条件は決して失うことができないからである。
穏やかに
豊かに──
快適で平和に生きる知恵のかずかず、とくとご覧あれ!
森田健司:1974年神戸市生まれ。京都大学経済学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(人間・環境学)。現在、大阪学院大学経済学部教授。専門は社会思想史。とくに江戸時代の庶民文化・思想の研究に注力している。著書に『石門心学と近代』(八千代出版)、『石田梅岩』(かもがわ出版)、『かわら版で読み解く江戸の大事件』『外国人が見た幕末・明治の日本』(以上、彩図社)、『なぜ名経営者は石田梅岩に学ぶのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『明治維新という幻想』(洋泉社)、『現代語訳 墨夷応接録』(編訳、校註、解説。作品社)などがある。