◎内容紹介
『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで。
ジブリ作品のアニメーターとして、裏方に徹した著者・舘野仁美による回顧録。
『熱風』の人気連載が加筆修正のうえ、待望の書籍化。2015年11月25日発売。

「スタジオジブリに嫁いだ」27年間を振り返って、
記憶の中にある宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー、
そして高畑勲監督、スタッフたちのエピソードをつづる。

スタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーによる序文「メイちゃんの誕生」を収録!
大橋実さんによる描き下ろしイラスト、貴重な写真など多くの図版を収載!


◎定価など
本体1400円+消費税
四六判並製 ISBNコード  978‐4‐12‐004793‐0 C0095


◎目次
メイちゃんの誕生(スタジオジブリ鈴木敏夫)

はじめに(舘野仁美)

プロローグ

1 ジブリ王国の門をくぐる、エンピツ戦士

2 ジブリの森で宮崎監督に雷を落とされる

3 師匠たちに怒られながら、腕をみがく日々

4 トレスマシンと格闘し、スケジュールに追いかけられる

5 光があれば、闇もある。表現者はなにを考え、どう動くべきか

6 いいアニメーターの条件とは?  教える立場になって思ったこと

7 ジブリを巣立つ日。そして人生は続く

エピローグ

エンピツ戦記外伝――構成者あとがき(平林享子)


◎「プロローグ」より
 私はスタジオジブリで長年、アニメーターとして働いていました。とくに動画チェックと呼ばれる作業を担当していました。

「動画チェックってどんな仕事?」

そう思われる読者の方も多いかもしれませんが、簡単に言うと、アニメーターが描いた線と動きをチェックする仕事です。動画の線は、アニメーションが生きるか死ぬかの生命線であり、その品質管理をする仕事です。

というと、なんだかすごくカッコいい仕事のようですが、アニメーターの仕事の中で、いちばん地味で目立たない裏方で、まさしく縁の下の力持ちであることを求められます。

裏方であるはずの私が、鈴木敏夫プロデューサーの鶴の一声で、なぜか回顧録を書くことになってしまいました。

(中略)

それは、私の思い出であると同時に、ジブリで一緒に働いていたスタッフみんなの思い出でもあります。できるだけ、みんなの声や思いも伝えたいと思いながら書きました。

このような機会を与えてくださった宮崎さんと鈴木さん、そして、ジブリで一緒にすごした多くの仲間たちに、心からの感謝をこめて。

舘野 仁美(たての・ひとみ)
1960年、福島県生まれ。アニメーター。東京デザイナー学院アニメーション科卒業後、テレコム・アニメーションフィルムを経て、スタジオジブリに参加。『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで、数多くのジブリ作品に携わる。2014年、スタジオジブリを退職。同年12月、東京・西荻窪に「ササユリカフェ」をオープン。

平林 享子(ひらばやし・きょうこ)*本書の構成を担当
1967年、大阪府生まれ。編集者、ライター。早稲田大学教育学部卒業。フリーを経て2008年、スタジオジブリ入社。出版部に所属し、ジブリの広報誌『熱風』のほか、宮崎駿著『折り返し点 1997~2008』などの編集を担当。2014年、スタジオジブリを退職。その他の編集と構成を担当した本に、坂本龍一他著『縄文聖地巡礼』など。