Interview著者インタビュー

口コミから人気が広がり、シリーズ全巻に重版がかかっている人気シリーズ「マカン・マラン」。 2018年11月でシリーズ最終巻を刊行されました著者の古内一絵さんに、今回、ここだけの特別インタビューを行いました!

シリーズでは、シャールという「ドラァグ・クイーン」のキャラクターをメインに据えていますが、そこにこめた古内さんの思いはどのようなものでしょうか?
私はデビュー作からエンターテインメント小説を書いてきていますが、実はその裏側にジェンダーの問題を潜ませていることが多いです。デビュー作の『銀色のマーメイド』もそうですし、競馬シリーズ『風の向こうへ駆け抜けろ』」や『蒼のファンファーレ』も、スポーツエンタメの裏に、ジェンダーやマイノリティーの問題をはらんでいます。それは、私自身が男女雇用機会均等法の初期に当たる年代に社会に出たことが大きな要因だと思います。 このことは近作の『キネマトグラフィカ』に詳しく書いていますが、私は前述の映画会社で初めて女性総合職として採用されました。当時の映画業界はまったくの男性社会で、二十代で覚えた矛盾や偏見が、自分の作品の中に色濃く反映されていると感じます。 今は女性も社会で仕事をするのが当たり前ですし、男性が子育てや家事をすることも当たり前になっていくのではないかと思います。この先は、誰もがトランスジェンダー(性差を飛び越える人)であることが必要とされるのではないかと考えています。 男でもあり、女でもあるシャールという人は、そうしたことを象徴していると言えるかもしれません。
そんなシャールさんの生き方は、「今をできる限り上機嫌に過ごす」こと。
四巻目最後のお話ではその一端が書かれていましたが、他のキャラクターの「上機嫌な過ごし方」は? また、古内さんご自身も何か意識されているものがあれば教えてください。
柳田の上機嫌:ビールをおともに、ラーメン、餃子、チャーハン一気食い。
ジャダの上機嫌:刺繍、リリアン、お裁縫全般のほか、ショーパブで仲間と朝まで大騒ぎ。
比佐子さんの上機嫌:マカン・マランでお裁縫とお夜食。シャールとお喋り。
著者の上機嫌:美味しいランチ。公園のベンチで読書。
ハードルは低くて構わないので、日々の暮らしの中で、皆が自分の上機嫌な過ごし方を確保できるといいですね。
最後に、「マカン・マラン」ファンの皆様に向けてメッセージをお願いいたします。
皆様の応援に支えられ、「おしまい」までたどり着くことができました。心から感謝申し上げます。「マカン・マラン」という物語は、ここでいったん幕を閉じますが、これからもシャールやジャダや柳田教諭は日々を模索していくのだと思います。また新たな形で、彼らの物語を書くことができる日を、著者自身願っております。「マカン・マラン」が皆様に何度も読み返していただける作品になることを、心より祈っております。 四年間に亘り、「マカン・マラン」にご来店いただき、誠にありがとうございました。
古内一絵さん、有難うございました。
「マカン・マラン」は、どこから読んでも面白いシリーズです。未読の方は、是非手にとってください!

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