Interview著者インタビュー

口コミから人気が広がり、シリーズ全巻に重版がかかっている人気シリーズ「マカン・マラン」。 2018年11月でシリーズ最終巻を刊行されました著者の古内一絵さんに、今回、ここだけの特別インタビューを行いました!

シリーズを通してみると、小学生男子から老齢の女性まで、様々な人間がお店に訪れますが、印象に強く残っている人物はいますか?
シリーズを通して、一番思い入れが深いのは柳田教諭です。シャールと柳田の出会いは、デビュー作の「銀色のマーメイド」にまで遡るのですが、「銀色」では柳田は所謂「悪役」として登場します。この人は徹頭徹尾「保守」で、その自分を変えたいとも思っていません。その柳田が、マカン・マランの常連であるということが、この物語の一つの肝だと思っています。シャールは多くの人たちにとって「メンター」ですが、柳田は唯一、シャールと肩を並べることのできる人物です。考え方も感じ方もまったく違う二人の同級生の関係は、友人ともライバルとも呼べない不思議なものですが、同時にとても大切なものなのではないかと感じています。
店主・シャールが営む深夜カフェ「マカン・マラン」には、おいしく、そして健康にも良さそうな料理がたくさん登場しましたが、毎回どうやってその料理を選んでいたのでしょうか? また、個人的に食べてみたい、シャールさんのお料理は?
もともと夜食カフェを舞台にしようと考えた要因は、自分の会社員時代に遡ります。私は映画会社で主に宣伝の仕事をしていたのですが、当時の映画会社は非常に忙しく、会社を出るのが大抵二十二時を過ぎていました。この時間にあいているのは飲み屋かラーメン屋ばかりで、女性が一人でふらりと入れて、身体によい食事ができるカフェがあったらどんなにいいだろうといつも考えていました。そこで、マカン・マランは野菜中心で、深夜に食べても胃にもたれない身体に優しい薬膳的な夜食を出すカフェになりました。 料理の選択は、実際に取材をしたり、マクロビや薬膳やアーユルヴェーダの本を参考にしたりして決めました。それから、マカン・マラン・シリーズは春夏秋冬の物語でもあるので、季節感を重視しました。担当編集さんに、「この季節はなにを食べたい?」と聞いて、決めたこともあります。 個人的に食べてみたいのは、第一作の三話に登場する「世界で一番女王なサラダ」と、新作「おしまい」の第四話に登場する「ガレット・デ・ロワ」です。自分のガレット・デ・ロワに、どんなフェーブが入っているか試してみたいです。(笑)

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