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編集部より

編集後記

2017年5月号【編集長から】

<あいまいな日本の憲法>

「阿吽の呼吸」や「以心伝心」で通じる日本的なあいまいさが、憲法にも潜んでいると思い知らされた気がしました。

5月3日に施行70年を迎える日本国憲法。その最大の特徴を東京大学社会科学研究所准教授のケネス・盛・マッケルウェイン氏は「短いこと」と喝破します。5月号の特集「憲法の将来」の寄稿論文「日本国憲法の特異な構造が改憲を必要としてこなかった」はとても刺激的です。氏によれば、現存する世界約200の憲法典の中で、日本国憲法は短い方から3番目。それゆえに具体的な記述に乏しく、詳細は下位の法律に委ねています。例えば選挙制度一つとっても、憲法に定めがない日本は公職選挙法を54回も改正しています。そうやって、憲法に触れることなく、70年に及ぶ社会情勢の変化に対応してきたというのです。

要は、憲法は「ちゃんとやれ」というだけ。「ちゃんと」の中身は政治家や官僚が社会情勢を見ながら「阿吽の呼吸」「以心伝心」で決めてきたとも言えます。けれどもそれは、小さな変化には融通無碍でも、大きな変化には心許ないのではないでしょうか。危急の際、「戦力の不保持」や「交戦権の否認」(九条)と「幸福追求権」(十三条)のどっちをより先に「ちゃんとする」べきか、憲法は何も語ってくれません。下位法に委ね過ぎれば、権力に縛りをかけるという憲法の役割を果たせなくならないかと氏は心配します。

特集では自民、公明、民進、維新の論客が憲法改正について意見を戦わせましたが、司会を務めた田原総一朗氏はこの中で、議論を先送りしてきた政治の怠慢を厳しく指摘しました。座談会では一同が問題意識を共有し、民進党・細野豪志氏は憲法改正案を発表しました。議論の呼び水になることを期待します。

70歳を迎えた憲法。「以心伝心」もさすがに時間切れではないでしょうか。特集が「あいまいな日本」の危うさを考えるきっかけになればと思います。

<ポピュリズムは民主主義を破壊するのか>

もう一つの特集は、ポピュリズムです。著書「ポピュリズムとは何か」(中央公論新社刊)で、現代のポピュリズムは反デモクラシーとは言えないと指摘した千葉大学教授の水島治郎氏が、北海道大学教授の遠藤乾氏と対談します。

水島氏はオランダ、遠藤氏はEUを中心とした欧州と、専門分野が重なる両氏。情報と分析は冴え渡りますが、ポピュリズムの見方には違いも出ました。

2017年の欧州は選挙の年です。4月に始まる仏大統領選では、ポピュリスト政党から有力候補がでています。ポピュリズムはデモクラシーを脅かす害悪なのか、一定の役割を果たす存在なのか。それをいかに位置づけ、どう扱っていくべきか。じっくり読んでいただきたい対談です。

このほかにも、佐藤信氏、稲葉振一郎氏、谷口将紀氏がポピュリズムについて深い論考を寄稿しています。ポピュリズムの現状、問題点、将来が一冊でわかる特集です。

                              編集長 斎藤孝光
                   (★ツイッターで発信中です @chukoedi)

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