バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する17年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。
一九六八年長崎県生まれ。九七年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞し、作家デビュー。二〇〇二年『パレード』で山本周五郎賞、『パーク・ライフ』で芥川賞、〇七年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、一〇年『横道世之介』で柴田錬三郎賞、一九年『国宝』で芸術選奨文部科学大臣賞、中央公論文芸賞を受賞。その他の著書に『怒り』『静かな爆弾』『ミス・サンシャイン』など多数。
映画『横道世之介』(13年公開)の監督、沖田修一と、同作品で横道世之介役を務めた高良健吾の対談が『婦人公論.jp』に掲載されています