結婚三年目、三十歳という若さで、妻は逝った。あまりにもあっけない別れ方だった――
男手一つで娘・美紀を育てようと決めた「僕」。喪失の痛みを抱えたまま迎えた初登園、
葛藤続きの小学校、義両親との微妙な距離感......。
もう、ダメかもしれない。心が潰れそうになりながら、強く、優しくなっていく「のこされた人たち」の十年を描いた物語。
家族って、決してまん丸な満月ではないと思うんです。
みんなちょっとずつ何かがずれていたり、足りなかったり、失われていたり、思い通りにならなかったりするけれど、それを補ってくれる誰かがいる。そのことを信じていいんだと教えてくれるベースキャンプが、親子や夫婦だと思うんです。
映画『ステップ』は、原作の思いをさらにパワーアップさせて、次にこの物語を必要としている人に手渡すバトンになってくれたと思います。