夏休み明け、北海道立白麗高校2年8組に、東京からひとりの転校生がやって来た。汐谷美令――容姿端麗にして頭脳明晰。完璧な彼女は学校中から注目を集めるが、些細な事からクラスで浮いた存在になってしまう......。学校祭準備で美令と友人となった、クラスで孤高を演じる松島和奈。そして美令が孤立する原因を作ってしまった、クラスのカースト上位である城之内更紗もまた、美令、和奈と深く関わってゆく。それぞれ秘密を抱える三人が向かう先に待つものは、そして美令の「私、神様の見張り番をしているの」という言葉の意味とは......。今、彼女たちの人生で、もっとも濃密な一年が始まった――。
去年書いた『おまえなんかに会いたくない』という小説の中には、友達が一人もいない少女がいました。
その子に一人でも友達がいたら何か変わっただろうか? と考えたのが、『水底のスピカ』が生まれるきっかけでした。
どちらも中庭に丸い噴水がある高校が舞台ですが、話のテイストはずいぶん違うものになったかもしれません。
「友達がいれば、大抵のことは大丈夫」。
そう信じていたころを、思い出しながら書きました。
来年は、この話には出せなかったクラスメイトたちの話を書きたいと思います。
1970年北海道生まれ。2006年、「夏光」でオール讀物新人賞を受賞。10年『あの日にかえりたい』で直木賞候補、『メグル』で大藪春彦賞候補。映像化された『てふてふ荘へようこそ』ほか、『向かい風で飛べ!』『龍神の子どもたち』など著書多数。8作家による競作プロジェクト「螺旋」では昭和前期を担当し『コイコワレ』を執筆。近著の青春群像劇『おまえなんかに会いたくない』が話題となる。
何でもないから自分に悩み、人の苦しみを知り、助けたいと思うかけがえのない学生時代を生々しく思い出した。
もう一度高校生に戻りたくなった。もう一度高校生に戻りたくなった。ものすごいパワーで一気に駆け抜ける爽快感!
言葉がなくても、ただ寄り添ってくれるだけで、一歩を踏み出せる。少女たちの心の交流に胸が燃えました。
生き方、友情、人間関係、すべてを容赦なく刺してくる物語。でも自分が主人公だと気づく。人の痛みや苦しみに寄り添ってくれる。
登場人物たちの思考の違いや心情の描写が秀逸!小説にしかできないことをやり遂げた、素晴らしい作品。
一緒に輝いてくれる友達はきっとどこかにいる。"十年後にまた会える友達"のために、今いる自分と友情を大切にしたいと思える一冊。
信頼できる人がいるのは最強。そして、信頼を得るには独り善がりではなし得ない。自分の世界が暗闇からキラキラへ変化する、青春真っ只中の五人の未来は明るいぞ!
三人の友情が徐々に本物になっていき、固い絆となるラストは輝きに満ちていて、友情っていいなと素直に思えました。
現在学生、真っ只中の人も、そして昔、学生だった人にも読んでほしいトゲのある小説。
色々な感情が呼び起こされました。自分を変えることができる彼女たちの強さが、絆が、悩みもがき進むその姿こそが、たまらなく眩しい最高の青春群像劇です。
自分の人生の主役は自分。そんな当たり前のことすら自信がもてなくなる生活の中で、希望の光となるような物語。
誰もが抱く「秘密」を誰もが憧れる「特別」。それに触れてみたくて何度も衝突して信頼とリスペクト育む彼女たちは最高に輝いている、この青春の出会いに感謝したいです!