ホーム > 単行本 > 嫌老社会を超えて
五木寛之 著
若い人がくつろぐコーヒーショップに足を踏み入れると、何とも言えない冷ややかな視線を感じる。この居心地の悪さはなにか。私は、それが「嫌老感」だとようやく気が付いた。そう、老人はもはや「弱者」ではない。高額の年金をもらい、高級車に乗り、若者の何倍もの社会保障費の恩恵を受けている。これで社会に嫌老感が起きないわけがないのだ。では、解決策はあるのだろうか。簡単ではないが、「嫌老」ならぬ「賢老」にこそ、一縷の可能性があると私は見ている。