
祭りは終わらない
中島丈博 著
「一スジ、二ヌケ、三ドウサ」。スジは脚本、ヌケは画面の美しさ、そしてドウサが役者の演技。脚本の出来が映画の死命を制すことをいった金言である。一〇〇〇本を超える膨大なシナリオを手がけ、実際にメガホンもとった著者が、波乱に富んだ来し方を詩情豊かに綴る。幼少期の京都、少年時代の高知、脚本家として怱忙の日々を送った東京。終戦から今日に至る、人びとの熱く苦渋に満ちた生き様と、業界の裏面史が鮮烈だ。
感情に揺れる経済心理
依田高典 著
完全無欠な人間が完全な情報を得て正しい判断をする―これが経済学の仮定する経済人(ホモエコノミクス)である。だが、現実にはこのような人間はいない。情報はあまりに多く、買い物をしたあとでもっと安い店を知って後悔する。正しい判断がいつも実行できるわけではなく、禁煙やダイエットも失敗しがちだ。本書は、このような人間の特性に即した「行動経済学」を経済学史の中に位置づけ直し、その理論、可能性を詳しく紹介する。
貴族と庶民の家と養育
服藤早苗 著
歴史上、父と子の強い関係が見え始めるのは平安時代初期のことである。『御堂関白記』は、子をたくさん産み育てることを称揚し家の力を拡大させていった藤原道長の姿を、『小右記』は、子どもを寵愛した藤原実資の日常を伝えている。貴族の日記や説話から見えてくる父と子の絆は、現代の子育てを考えるうえでも多くの示唆を与える。「母と子」「女と男」につづき、歴史から現代の家族を考える三部作の完結篇。