時々、「ファストフード嫌いなんですか」と聞かれることがある。確かに、堂場の小説を読んだ人はそういう感想を抱くかもしれない。鳴沢なんか、天敵のごとく嫌ってますからね。だけどあの男は、そもそもおかしいから。そこのところ、勘違いしないで下さい。作者と登場人物はまったく別の存在である。
ファストフードというか、ハンバーガーは好きです。しかし本場のアメリカ(定期的な野球観戦で行くわけです)では、一度たりとも美味いハンバーガーに出会ったことがない。ニューヨークで、「これは」と評判の店にも何軒か行ってみたのだが、どこもいま一つだった。ハンバーガーは東京の方が絶対に美味い。単純な料理だけに、どう作っても同じように思えるが、如実に違いますね。一般的に、東京は世界でも料理の水準が高いと言われていますが、こういうファストフードでもレベルが高いのは素晴らしいことではないでしょうか。
最近、いわゆる「グルメバーガー」と呼ばれるハンバーガーショップが増えた。ミニマム1000円ぐらいからといいお値段なのだが、どこもいろいろ工夫していて食べさせる。
このグルメ系のハンバーガーに目覚めさせてくれたのは、自宅近くの店だった。住宅街にぽつんとある一軒家で、インテリアもアメリカン・フィフティーズを意識した、いかにもという感じ。ここのハンバーガーは、ハンバーガーの概念が覆るほど美味かった。基本的にひき肉ではなく、荒く叩いた肉でパテを作るために、歯ごたえがざっくりしていて素晴らしい。店内は煙もうもうなのだが、これもまた雰囲気だ。自家製のケチャップが、また甘味が強くて独特の旨みを出している。行き始めの頃はまだ客も少なかったのだが、やはり美味い店には人が集まるもので、最近はいつ行っても店の前に行列ができており、都心部に支店まで出してしまった。それでも味に変化がないのはさすがだと思うが。ハンバーガーだけでなく、グリル系の料理も美味。
行きつけのハンバーガー屋はここがメインで、他にも二軒ある。一軒は、ハワイアン系(アボカド入りがデフォ)、もう一軒は少し上品な感じで味つけもきつくない。後者はハンバーガーもそうだが、コーヒーがたまげるほど美味い。その辺の喫茶店なら裸足で逃げ出す味だ。こういう店だと、ファストフードの代表格であるハンバーガーも、立派な料理になる。もちろん、某Mで食べる場合の三倍ぐらいの値段にはなるが。
ちなみに鳴沢はファストフードに見向きもしないが、高城サンは違います。「アボカドがたっぷり入ったハンバーガー」(「漂泊」p.191)を、ちゃんと食べている。まあ、たまにはね......彼の場合問題なのは、あまりにも食生活に無頓着な点だ。この後「二百グラムの和風ハンバーグを頼んで」(同p.220)と、この日は昼夜二食続けてひき肉である。注文する前に気づけよ......。