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編集後記

<大災害が続く時代に>
 東日本大震災のあと、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』がベストセラーに名を連ねたことがあります。ユダヤ人精神科医がナチス強制収容所での体験を綴った書です。多くの人が亡くなるなかで自らは生き残ったという過酷な経験が、「生きる意味とは何か」という同書の問いを切実に求めたのでしょう。
 戦争や震災はその極限ですが、そもそも生と死は紙一重なのかもしれません。平安時代や江戸時代の地震、南海トラフ地震や首都直下地震の予測、近年の大水害を思うと、いま無事に生きていることは偶然に過ぎないと感じます。
 今月号の特集は「大災害時代」です。御厨貴さんと松原隆一郎さんは対談で、今後は地域「切り捨て」の覚悟も問われると論じます。一見冷たく映りますが、最優先の人命をどう守るか。人口減少と大災害の時代に応じた国土づくりを考える必要があります。
 新書大賞は、大木毅さんの『独ソ戦』に決まりました。数千万人という桁違いの死者を出した「絶滅戦争」。人々はどんな思いで亡くなったのか、想像に余りあります。フランクルのように生きる意味を問いながら、命を落とした人も多くいたことでしょう。
 阪神・淡路大震災から25年、東日本大震災から9年。予測されている危機を直視して、できる限りの対策を取ることが、残った私たちの務めのように感じます。

 
編集長 穴井雄治

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