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編集後記

<日本が科学立国であり続けるために>
 中国発の世界的ベストセラー、劉慈欣さんの長編SF小説『三体』が日本でも翻訳され、人気を集めています。ある登場人物が部下たちにこう語る場面があります。<すなわち、科学全般の発展は、基礎科学の進歩によってもたらされるということだ>。物理学など基礎科学の知識を土台とした壮大な物語が生み出され、広く読まれる。台頭する現代中国の凄みを感じます。
 中国や米国を向こうに回して、日本が科学立国であり続けるために何が必要か。今月号の特集は、「崖っぷちの科学立国」です。本庶佑さんの提言は非常に具体的です。研究費配分の改革や若手研究者の処遇改善など、すぐに手をつけてほしいところです。一方、海部陽介さんは、日本の研究者にはアイデアが足りないと苦言を呈します。
 日本社会は、「失われた20年」を経て安定志向が強まったのでしょうか。就職が良いのは文系より理系、医学部なら間違いなし――。学問への興味より、こんな基準で進路を選ぶのが普通、といった風潮もあります。未知の分野への挑戦を恐れる空気をつくってきたのかもしれません。
『三体』にはこんなせりふもあります。<科学を殺す? だれが?>。SFと違い、何が日本の科学を殺そうとしているのか、謎があるわけではありません。対策も提案されています。「今がラストチャンス」という本庶さんの言葉が重く響きます。

編集長 穴井雄治

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