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編集後記

<報道も科学もファクトが重要だ>

肺に入れても害のないフロンガスが冷蔵庫から消えたのに、金属やカーボンの塊である飛行機が飛ぶのを禁止されていない理由は、人類に科学があるからでしょう。五感では把握しかねる事実を教える科学と、そこから合理的な結論を導く知性があって、現代文明は成り立っているのでしょう。

ところがそこに政治や党派性が絡むと、「事実」も「知性」も失われかねないというのが、今月号の二大特集を流れる通奏低音です。

マケドニアのルポは衝撃的でした。大学生らが小遣い稼ぎのためにネットでついた嘘が、米大統領選の投票行動を歪めました。そうして誕生した新大統領は、政権批判のニュースを「フェイク」のレッテルを貼ることで封じ込めようとしています。

豊洲の移転議論では、「知性」が後景に追いやられました。

安全かどうかの判断を脇に置いて安心について議論すれば、五感で騒ぐ井戸端会議と同じです。政治が説得責任を放棄して、とにかく不安をゼロにと叫べば、やがて飛行機だって飛べなくなるでしょう。

私たちメディアも反省する必要がありそうです。既存メディアへの不信はフェイクニュースを生む一因となっているようですし、科学を飛び越して不安を煽りたてる報道が冷静な議論を妨げてはいないかと懸念する声も聞きます。党派性を離れた科学の目は、メディアにも必要だと、自戒を込めて思います。

<中央公論デジタル・ダイジェスト>
バックナンバーの特集を電子化しました。

                          編集長 斎藤孝光

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