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人口減社会の諸問題

深層NEWSの核心
近藤和行/玉井忠幸
〜「中央公論」2015年2月号掲載

 少子高齢化に伴う人口減少が社会問題化している。その影響は、日本経済の将来はもちろん、人口減が加速する地方をいかに再生するかといった問題にも及ぶ。こうした状況でなすべきことは何か。ゲストの発言を踏まえてキャスター二人が語り合った。(出演の日付はいずれも昨年。肩書は当時)

◆急減する地方の人口
「(地方の人口減に対応するには)拠点都市に集中投資し、地方に働く場をつくることが大事だ」=増田寛也元総務相(五月十九日)

「集客力のある大きい施設は大きな都市に置くなど、自治体を超えて機能連携を図るべきだ」=同(八月二十五日)

近藤 ここにきて人口減社会の問題が注目されるきっかけを作ったのが、本誌昨年六月号の緊急特集「消滅する市町村523」をはじめとする増田氏の論考です。それによれば、二〇四〇年には全国の約半数にあたる八九六市区町村で二十〜三十九歳の女性が五割以上減ってしまい、このうち五二三の自治体は消滅に向かう可能性が高い、としています。

玉井 住環境の問題もあるので、都市部ではどうしても地方より出生率が低くなってしまう。だから、若い人が都市部に転出していくと、日本全体の人口減少も加速してしまう、といった指摘も重要なところですね。

近藤 その意味では、地方創生をどう進めるかが、人口減に対応するための重要なポイントになってくると言えます。「東京一極集中を抑えるため、各地方の中核都市に都市機能を集約し、人口を維持させるためのダム機能をもたせよう」という趣旨の増田氏の提言は傾聴に値しますが、最終的には、若者の働ける雇用の場を地方にどうやって作るかが最大の課題でしょう。

玉井 もっとも、そのために具体的にどうすればいいのかということになると、なかなか難しい。

近藤 現実には日本の製造業も海外で生産するほうが、経営的には圧倒的に有利な時代になっていますから、地方に工場を誘致して産業振興を図るような旧来の手法はなかなか通用しない。何とか新産業を興す、国内サービス産業を活性化するなどの地道な積み重ねが大切で、即効策はないような気がします。

「一人ひとりが当事者意識を持ち、使い勝手の良い町づくりを進める必要がある」=宮城県女川町の須田善明町長(八月二十五日)

玉井 限られたリソースで地域をどう立て直すかということで言えば、東日本大震災の被災地域から学べることがあるかもしれません。被災地の多くはもともと少子高齢化が進んでいましたが、震災でさらなる人口減に見舞われたところも多い。女川町はまさにそんな地域なのですが、町長の須田氏は、都市機能を一定のエリアに集中させる「コンパクトシティー」の構想を語っています。すべてを生かすのが無理なら、政策的にある程度の「取捨選択」をしていくしかない。自治体も政府も、今後は時に厳しい決断をしていくことを考えねばならないでしょう。

近藤 すべての自治体を活性化させるというのは難しい。そこは地に足の着いた議論をする上での前提にせざるを得ないと思いますね。

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