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〔12月25日UP!〕
自然の脅威にどう備えるか

深層NEWSの核心
玉井忠幸/近藤和行
〜「中央公論」2015年1月号掲載

 長野・岐阜県境の御嶽山で九月に起きた噴火により、我が国の火山防災が改めて問われている。一方ではエボラ出血熱の世界的な広がりもあり、さまざまな自然の脅威は内外から日本に迫りつつあるようだ。こうした面での危機管理は盤石なのか。ゲストの発言を踏まえてキャスター二人が語り合った。

◆御嶽山噴火の教訓

「(水蒸気爆発から)マグマ噴火まで6か月かかった火山もあり、(御嶽山も)様子を見る必要がある」=石原和弘・火山噴火予知連絡会副会長(十月二十七日)

玉井 国民の生命、財産を守るための危機管理の重要性については、安倍政権も力を入れています。昨年十二月、外交・安全保障の司令塔として国家安全保障会議を発足させたのは、その一つの表れでしょう。しかし、日本は自然災害にも不断の警戒をしなければならない国です。御嶽山噴火は、そんな事実を改めて私たちに突きつけました。

近藤 東日本大震災を契機に防災への国民の関心は高まってきましたが、ここにきて、地震や津波と並んで噴火の恐ろしさもクローズアップされてきた感があります。特に今回の噴火で浮き彫りになったポイントの一つには、観測体制の問題があります。日本は一一〇もの活火山がある火山国ですが、専門家に言わせれば、予算の関係で観測人員も観測機器も絶対的に足りないのが現状のようです。

玉井 噴火以外の自然災害も多い国なので難しいところはありますが、今の火山防災を再検討すべきではないかという議論は出ていますね。

近藤 いざという時の退避をどうすべきか、という問題もあります。気象庁は噴火警戒レベルを公表することで危険性を知らせているのですが、土砂災害などと違って火山噴火は、市町村レベルが避難指示を出すシステムになっていない。火山のあるところは一般に観光産業が盛んですから、経済的なことを考えると簡単に「逃げて」とは言いにくいというのが背景にあるようです。

玉井 そこは地域住民の生活も絡んでくるので、なかなか難しい。
「富士山はいつ噴火してもおかしくない。(パニックを起こさないためには)避難計画を作り、それに沿った訓練が重要」=藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長(三月三日)

近藤 具体的な話をすると、日本の活火山の中で、とりわけ注意しなければならないとされているのは富士山です。国と地方自治体は二月、噴火を想定した広域避難計画をまとめましたが、降灰が広がると、静岡、山梨、神奈川の三県で、最大四七万人が避難を迫られる恐れがあるといいます。しかも、避難計画では、火山灰は都心でも二センチ程度積もると想定している。

玉井 そうなると車や電車、飛行機などは止まって、交通は完全にマヒしてしまうでしょう。

近藤 社会的にも経済的にも首都機能が壊滅する可能性があります。首都機能の分散をもっと真剣に考えるべきではないか、と私は思います。

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