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台湾侵攻3

C★NOVELS

台湾侵攻3
電撃戦

大石英司 著

台湾鐵軍部隊の猛攻を躱した、軍神雷炎擁する人民解放軍第164海軍陸戦兵旅団。舞台は、自然保護区と高層ビル群が隣り合う紅樹林地区へ。後に「地獄の夜」と呼ばれる最低最悪の激戦が始まる!

カバー:安田忠幸
刊行日:2022/4/19
新書判/224ページ/定価:1100(10%税込)
ISBN978-412-501449-4


たいわんしんこう3
でんげきせん


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コメント

 SFテレビ・ドラマ、スタートレック・シリーズの「ディープ・スペース・ナイン」のシーズン5、第22話に、「 Children of Time 」(邦題・末裔の星)というエピソードがあります。
 スタートレックのシリーズにあって、われわれトレッキーが、いわゆる「DS9」と呼ぶこのシリーズは、宇宙船での旅ではなく、深宇宙に設けられた宇宙ステーションを舞台に物語が進行するグランドホテル形式の珍しいドラマとして知られています。
 その「末裔の星」の粗筋は、DS9のクルーたちが、ある惑星を通りかかった所、時空の悪戯で、遙か未来に飛ばされる所から始まります。その惑星では、彼らの子孫が何千人も繁栄して平和な暮らしを営んでいる。
 未来に飛ばされたクルーは、その時空で自分たちはもうとっくに死んでいるという現実に打ちのめされつつも、なんとか元の時間軸に戻ろうと足掻く。当然ながら、彼らが元の時空に戻るということは、その後に生まれた何千人もの末裔は、存在しないことになる。
 SFにありがちなタイム・パラドックスの脚本で、176話も創られたDS9のドラマの中でも私が好きなエピソードの一つです。

 ウクライナで露軍の虐殺行為が暴かれ、人類が世界大戦の崖っぷちに立たされている最中に、なぜ、こんな話を私は紹介しているのか?
 ドラマの終盤、ご先祖が無事に元の時空に戻ったら、自分たちの存在は消え去ると知っている住民たちは、しかし畑に出て、傾く夕陽の中、語らいながら苗を植え続ける。最期の日に、彼らは普段通りの日常を過ごす。
 人類社会、そして文明の本来あるべき姿を描く、印象深いシーンです。この物語を想い出すのは、今回が初めてではありません。3.11の大災害の時もそうでした。
 人は絶望の淵に立たされながらも、日常を過ごさねばならない。明日に繋がる行動をただ黙々と過ごさねばならない。
 戦争という野蛮な行為に世界が震えおののき、その悲しみと怒りをぶつける相手もいない。でも私たちは、力強く日常を過ごすことで、悲嘆に暮れる人々を応援し、邪悪な妄想に取り憑かれた独裁者と立ち向かうことが出来るのです。

〔大石英司/2022年4月〕

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