もぐら新章 血脈第43回

「ああ、そうだ。言い忘れたことがあった」
 円谷は声を張り、目の前の一同を見回した。
「おまえら、この能無しが隠しデータの置き場を全部見つけ出したと思ったら、大間違いだぞ。俺しか知らねえ爆弾を仕込んどいた」
「はったりはやめろ!」
 倉吉が怒鳴る。
「はったりかどうかは、俺を殺してみりゃわかる。早乙女」
 円谷は名指しした。
 早乙女は少しだけ顔を上げた。
「てめえにとって最悪の天敵を差し向けてやる。覚悟しとけよ」
 ニヤリとする。
「なんだ、その最悪の天敵という──」
 早乙女が訊こうとした時だった。
 銃声が轟いた。円谷の胸に穴が開き、血が噴き出る。円谷の上体が前に傾きそうになる。
「ふざけんな、円谷!」
 倉吉は声を張り上げ、引き金を引き続けた。
 無軌道の銃弾が、円谷の股間を抉り、肩を弾き飛ばし、頭蓋骨を吹き飛ばした。
 円谷は天を仰いだ。光を失った双眸が宙を見つめる。砕けた頭部から滴る血が、床に血だまりを作った。
 スライドが上がった。弾切れだ。それでも倉吉は引き金を引き続ける。
 竹原が熱くなった銃身を握った。
 倉吉はようやく両腕を下ろした。銃を離そうとする。しかし、手は痺れ、握り過ぎた指の爪が手のひらに食い込んで剥がれない。
「取ってやれ」
 竹原は肩越しに背後を見て言った。
 部下が倉吉の肩に触れる。倉吉はびくっとして振り向いた。
「銃を取りますので、あちらへ」
 そう言い、倉吉を部屋の隅に促す。
「盛永。円谷のスマホや時計を取り出せ」
 竹原が命ずる。
 盛永は平然と屍のポケットをまさぐった。
「何も持ってないですね」
 盛永が言う。
「なるほど。覚悟はしていたということか」
 竹原は冷たい視線を向けた。
「埋めとけ」
 命ずると、部下が台車を持ってきた。三人でソファーから引きずり下ろし、台車に載せて出ていく。他の二人の部下が掃除を始めた。

もぐら新章 血脈

Synopsisあらすじ

「もぐら」伝説、ふたたび!!

人類最強を決める壮絶な闘いの末、伝説は終わりを告げた……はずだった。

今ふたたび、竜司の最期の地・沖縄で、あの伝説が蘇る!!お馴染みのキャラクターも多数登場。人類史上最強の超絶アクション小説、連載開始!

Profile著者紹介

1964年兵庫県生まれ。文芸誌編集などを経て、小説家へ転向。「もぐら」シリーズ(小社刊)が100万部を突破しブレイクした。他の著書に、「リンクス」シリーズ、「D1」シリーズ、「ACT」シリーズ、「カミカゼ 警視庁公安0課」シリーズ、『コンダクター』『リターン』『AIO民間刑務所』などがある。

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